自分のアンブシュアが正しいかどうか不安になる人は多いと思います。
自分もこれまで色んな方のレッスンを受けたり、音大で他のホルン奏者を見ていく中で色々と悩むことが多かったです。
金管のアンブシュア以下のようなルールが存在しています。
- アンブシュアをマウスピースの中に入れなければいけない。
- 顎を貼らなければいけない
- 上唇の割合が多くて下唇の割合が少なければいけない。
ですが金管楽器には人それぞれ自分に合ったアンブシュアタイプがあります。
これはトロンボーン奏者であるドナルド・ラインハルトというクリニシャンによって考案された分類法です。
自分に合った吹き方をすることで効率よく音を出すことができたり、アンブシュアが安定したり、音色の改善が見込まれます。
今回は金管楽器の3つのアンブシュアタイプの特徴ついて解説します。
もくじ
金管楽器のアンブシュアタイプ
このアンブシュアタイプは以下の2つの基準となる要素よって分類することができます。
- 息の方向
- 唇とマウスピースの動き
それぞれ解説します。
息の方向
金管楽器奏者の息の流れには大きく分けて以下の2種類があります。
・息が下向きに流れる。
・息が上向きに流れる。
これは歯の並びや顎の構造、によって決まると考えれています。
ですが同じような構造だったとしても息の方向が変わってくる場合があるので、一概にこうだと決めつけることはできません。
なので自分でチェックする際は透明マウスピースを使って自分がどちらの方向なのかを観察してみてください。
ちなみに自分は息が下向きに流れるタイプです。
唇とマウスピースの動き
金管楽器のアンブシュアは非常に繊細に動き続けています。
歯に沿って唇とマウスピースを上下どちらかにスライドしています。
その動きには以下の2パターンがあります。
パターン1
・音が高くなるときに唇とマウスピースを鼻先に押し上げる。
・音が低くなるときに唇とマウスピースを顎先に引っ張り下げる。
パターン2
・音が高くなるときに唇とマウスピースを顎先に引っ張り下げる。
・音が低くなるときに唇とマウスピースを鼻先に押し上げる。
この動きは歯並びや顎や唇の構造によって決まると考えられています。
ですが、同じ歯の並びでも違う動きをする事もあるので身体の構造だけで一概にこうだと決めつける事はしないほうがいいです。
あくまでアンブシュアの動作パターンで判断してください。
金管楽器のアンブシュアは3タイプに分類できる
先ほど説明した、2つの判断基準により大きく分けて3つのタイプに分類されます。
それぞれ特徴を解説します。
アンブシュアタイプ1 (超高位置タイプ)
アンブシュア タイプ2(中高位置タイプ)
アンブシュア タイプ3(低位置タイプ)
アンブシュア タイプ1 (超高位置タイプ)
このタイプの特徴は以下の3つです。
- マウスピースに入る唇の割合が90〜75%と上唇の割合が多い。
- 息の流れは下向き。
- アンブシュアの動作は音が高くなるときに鼻先に押し上げ、音が低くなるときに顎先に引っ張り下げる。
なぜ?このような特徴になるのかはまだハッキリした理由があるわけではありません。
このタイプは以下のような傾向があります。
・ハイトーンの開拓がしやすい。
・低音域を開拓するのに慎重さが必要。(やり過ぎると調子を崩しやすい。)
・音色が明るく、硬く 金色的な音質。
・自然倍音や半音階などの隣り合った音から移り変わる練習の方が調子が整いやすい。
・唇を寄せたり巻いたりする動きを利用すると良いかも。
・アンブシュアをゴムのように伸び縮みさせながら音域を広げていく方が良いか。
アンブシュアタイプ1には次の奏者が当てはまります。
シカゴ交響楽団 デイビッド・クーパー
バイエルン放送交響楽団 エリック・テルヴィーガー
オルフェウス室内管弦楽団 ジュリー・ランズマン
アンブシュア タイプ2 中高位置タイプ
このタイプの特徴は以下の3つです。
- マウスピースと唇の割合が75%〜50%と若干上唇の割合が多い。
- 息の方向は下向き。
- 音が高くなるときにアンブシュアとマウスピースを引っ張り下げ、音が下がるときに鼻先に押し上げる。
なぜ?このような特徴になるのかはまだハッキリした理由があるわけではありません。
また自分がこれまでこのタイプの人と接してきた経験や学んできたなかで以下のような傾向があります。
・音色が暗く柔らかくレガートに非常に柔軟性がある。
・音の響きが暖かく豊かな音質。
・このタイプの練習を見ていると中音域からスラーで徐々に音を広げていく人が多い。
・このタイプであろう大学のホルンの先輩はフィリップ・ファーカスのウォーム・アップをよく練習していた。いつも後ろで聞いていてレガートがめちゃくちゃ美しかったのを覚えている。真似しようとしても真似できなかった。
・音の変化を上下ではなく前後ろと考えた方がやり易いかもしれない。トランペット奏者のエリック・ミヤシロもこのタイプだが彼の奏法が役立つかもしれない。)
アンブシュアタイプ2は次のような奏者が当てはまります。
ソリスト バリー・タックウェル
コンセルトヘボウ・オーケストラ ケイティ・ウォーリー
ヒューストン交響楽団 ウィリアム・バーミューレン
アンブシュア タイプ3 低位置タイプ
このタイプの特徴は以下の3つです。
- マウスピースに入る唇の割合が50%以上下唇の割合の方が多い。
- 息の流れは上向き。
- アンブシュアの動作は音が上がるときに顎先に引っ張り下げ、音が下がるときに鼻先に押し上げる。
なぜ?このような特徴になるのかはまだハッキリした理由があるわけではありません。
また自分がこれまでこのタイプの人と接してきた経験や学んできたなかで以下のような傾向があります。
・他のタイプよりも音の伸びがあり目立って聞こえる。
・明るめな音色。
・周りの音と混ざりにくい傾向があるか。
・ソリスト向きな音質
・低位置タイプの存在を知らない指導者などから誤った指導を受けやすい。
・大学のホルンの後輩もおそらくこのタイプだったが本人がそのままの吹き方を貫き、最後にはホルンコンチェルトの非常に素晴らしい演奏をしていた。)
・アンブシュアとマウスピースの関係が良いとあらゆる領域の技術をこなせる。反面アンブシュアとマウスピースの関係がズレると調子を崩しやすい。
・発音やロングトーンの練習を軸にした方が調子が整いやすいか。
・大学の先生曰くラデク・バボラクは音出しで発音の練習を何度もしていたらしい。また、彼の練習メニューを見たことがあるが基本的にロングトーン系のメニューが多い。
アンブシュアタイプ3は次のような奏者が当てはまります。
デニス・ブレイン
ソリスト ラデク・バボラク
ソリスト フィリップ・マイヤーズ
まとめ
ここまで金管楽器のアンブシュアタイプについて紹介してきました。
レッスンで指摘されたり、自分で不安になってアンブシュアについて悩む人は多いです。ですがそのアドバイスがそもそも自分の身体の構造的に合っていない可能性もあります。
自分の身体の機能にあった吹き方や練習をしていくことでアンブシュアも安定して吹けるようになるでしょう。
自分のアンブシュアタイプを判断するポイントは以下の2つです。
- 息の向き
- 唇とマウスピースの動き。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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