金管楽器のプレスした方がいいorしない方がいい問題について以前投稿したツイートがかなりの反響があり今回の記事を書くことに至りました。
ようやくマウスピースのプレスが必要な奏者とあまり必要じゃない人(ノンプレス奏法の奏者)の吹き方の違いが言語化できた。
もしもっと詳しく知りたい人がいたらブログに書こうと思います。— かいとう|ホルン奏者 (@HornKaichi) July 12, 2022
まず始めに今回の記事を読んで頂くにあたって何点かご了承頂きたいことがあります。
それをご承知の上でここから先を読んでみてください。
・個人の主観的な仮説であること。
・今回の記事はプレスを勧めている人とor勧めていない人の主観の違いがなぜ生まれるかについての奏法的な観点からの仮説であること。
・事実ベースのプレスの押し付け度合いは実際に計測してみないと分からない。
・プレスをすることがダメ、プレスをしないことがOKという話ではない。
・あくまで仮説なので遠慮なく異論、反論があれば教えてください。
なぜ?プレスをしてはいけないといわれるのか?
そもそも金管楽器はマウスピースと唇が完全に離れていたら音は鳴りません。
なのでプレスしないで吹くなんてことは物理的に絶対不可能です。
では?なぜプレスを勧めない人がいるのか?教える方だって生徒さんのプラスになると思って言っているはずです。
以下のような理由をよく聞きます。
・マウスピースのプレスをすることで唇の血流が悪くなるから。
・唇がバテやすくなるから。
・音がキツくなって聞こえるから。
ただ人によってはむしろプレスした方が上手くいく人もいたり口がバテにくくなる人もいます。プレスをしていても豊かな音を鳴らす方もいます。
現に世界的に有名なホルン奏者のラデク・バボラークでさえハイFを鳴らすためになんと3kgのプレスをしているそうです。
参考記事
この違いを今回は奏法の違いから仮説を立ててみました。
ホルン奏法における吹き方の違いとは
まず自分がこれまでホルン奏者から吹き方を学んだり、自分で色々と探求してきた結果、
ホルンの奏法には自分が知っている中で2つのやり方が存在しています。
・吹き方A
・吹き方B
このように
吹き方の違いでプレスを勧めるor勧めない人に分かれるのではないかと考えました。
吹き方A
このやり方は口の中をあらかじめ狭くしてをそれをいかに維持できるかという吹き方です。
自分がこのやり方で吹いたとき特におそらく口の中のコントロールや息のコントロールだけでは補いきれない音域のときにマウスピースのプレスする必要が出てきました。
逆にプレスを避けてしまうとバランスが崩れ唇の力に頼りがちになるため息が流れにくくなり吹きにくさを感じやすくなるのではないでしょうか?
・真ん中の基準が少し上にある傾向がある。
・あらかじめ口の中を狭くすることで唇の力を使って音を変えないようにしている。
・高い息の圧力を極力維持できる吹き方で音をコントロールしている。
・奏法のイメージは狭い状態からスタートしてそこから変化を少なく。
吹き方B
こちらはある程度口の中をオープンにしておいてそこからなるべく口の中を狭くしすぎたりアンブシュアを閉じすぎないように吹きます。
このやり方は逆にマウスピースの密着が増えるとその分息の流れが滞りやすくなり、息をより吐かなくてはいけなくなったりして唇に負担がかかってしまうと考えられます。
なのでプレスの密着度合いを減らすことで息が流れやすくなり上の音域に上がるための余力が生まれると感じやすくなるためマウスピースのプレスを勧めないのではないでしょうか?
・基本は口の中をオープンにして息の圧力を極力下げて吹いている。
・反対にプレスをしてしまうと息の流れが滞りやすくなってしまうため口の筋肉に頼りやすくなりバテる。
・メインは息のスピードをシラブルなどで変化させることで音をコントロールする。
・奏法のイメージはスタートがオープンにして変化を少なく。
この仮説から推測されること
プレスを勧めている人とor勧めていない人の主観の違いは
自分がどの地点から音域を広げているか、どういった方法で音をコントロールするかでバランスの取り方が変わるため生まれると思われます。
以下プレスを勧めるor勧めない人の主観の違いについて推測されることがあります。
【プレスを勧めている派の主観】
・マウスピースの密着が減ると代わりに息の力や唇の力で補わなくてはいけなくなるのでバランスを崩し調子を落とすと感じている。
・唇の振動を楽器に共鳴させるためにはプレスが絶対必要。→マウスピースのプレスは必要or必要じゃないかで考えている?
【プレスを勧めていない派の主観】
・プレスすることがダメなのではなくプレスに頼ることで息によって音を生み出す作業を阻害したり疎かになる。の方が正解に近いのではないか。
・練習の段階で特にプレスの依存度が効率的に音を鳴らせているかの判断基準になっているのでは?
・プレスを勧めていない派も口がバテてきたり高音域を出さなければいけない時はプレスに頼らざるおえない。→プレスするかどうかは善悪で考えている?
まとめ
今回マウスピースのプレスを勧める人と勧めない人の主観の違いについて言語化にチャレンジしてみました。
ただこういった話になったときはプレスはした方がいい。プレスしないで吹くべき、みたいな極論かプレスはやり過ぎなければOKという曖昧な結論になりがちです。
ですがそもそも以下の2点を理解しておくといいかもしれません。
・唇の振動を楽器に共鳴させるためにはマウスピースのプレスが絶対に必要であるという点。
・唇の振動という点だけ考えればマウスピースのプレスを全くしなくても唇のバジィングによって音は生み出せるという点。
唇の振動を楽器に伝えるためにはマウスピースと唇を密着させる必要があります。
ですが密着させただけでは音は生み出せません。息の力や唇を閉じる力が必ず必要なんです。
そう考えるとノンプレスの目的はプレスしないことではなく唇のバジィングの訓練と考えることもできます。
ですが推測でしかないので本当のところは分かりませんね。
そういえば高校の頃に参加したホルン合宿でプレスすることを勧めていないベルリン・フィル首席シュテファン・ドール氏は恐ろしいくらいに部屋中に響き渡るフリーバジィングで上から下までの音域をコントロールしていました。
もし唇のバジィングの訓練をする奏者が訓練しない奏者よりも実際にかかるプレスの圧力が少なければプレスを勧める人とプレスを勧めない人で本質的な奏法の違いを発見できるかもしれません。
誰か実際に測定できる研究者がいれば是非実験して欲しいです。
あなたはこの主観の違いについてどのように考えますか?是非意見をお聞かせください。
それでは。
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