
アレクサンダーテクニークを学んでいくと7つの原理という専門用語のようなものを知ることになります。
今回はこの原理について解説していきたいと思います。
「7つの原理って一体何?」と思う方は是非今回の記事を読んでみてください。
少し難しいなと感じるかもしれませんが、実はとってもシンプルな原理です。
もくじ
7つの原理とは?

以下の7つがアレクサンダーテクニークを使っていくときにヒントになります。それぞれ解説します。
・頭と脊椎の関係(プライマリー・コントロール)
・ディレクション(方向性)
・感覚的評価は当てにならない。
・習慣の認識
・使い方が機能に影響する
・インヒビション(抑制)
・心身統一体
頭と脊椎の関係(プライマリー・コントロール)

最初はあまり認識できないかもしれませんが実は人間の頭は脊椎の上でバランス良く乗っかって微細に動き続けています。その動きが身体の全体の動きを調整する働きをしています。
脊椎と頭はピッタリくっついているわけではありません。以下の画像を見てわかる通り

この働きをこのメソッドの創始者であるF.Mアレクサンダーさんはプライマリー・コントロールと名付けました。
ここで実験をしてみましょう。自分の身体の変化を観察してみてください。
①普段通り4拍息を吸って4拍アーと声を出す。
②頭を脊椎の方向に押し下げて4拍息を吸って4拍アーと声を出す。
③押し下げるのをや止めて4拍息を吸って4拍アーと声を出す。
④頭の繊細な動きが体全体に影響すると思いながら4拍息を吸って4拍アーと声を出す。
どうでしたでしょうか?
おそらく②が最も息が吸いにくく声も出ないのではないでしょうか?
反対に④が息も吸いやすく声も出しやすいのではないかと思います。
ディレクション(方向性)

これはアレクサンダーテクニークを使って何かをするときどういった方法を用いるかという意味です。
普段の僕たちは無意識のうちに習慣になっているやり方を選択しがちです。
そのため頭と脊椎の関係が不利になる使い方を用いていることがあります。
この方向性は人それぞれ異なります。
なので自分が取り組みやすい意図の出し方でアレクサンダーテクニークを使っていくことになります。
例えば
・頭が動いて体全体がついてきて
・頭の繊細な動きが体全体に影響する。
・お願いする。指示を出す。思う。意図するなどなど
色々なやり方でアレクサンダーテクニークを使っています。
このときにより詳細な動き(身体のマッピング)の指示が出せれば効率よく身体が動いてくれます。
感覚的評価は当てにならない
これは自分が正しいと感じている感覚が誤っている可能性があるという意味です。
なぜなら人間は慣れ親しんだ感覚を正しいと判断しやすいからです。
慣れてしまうと聴覚や嗅覚は正常な判断をしなくなっていきます。
例えば、どんなにうるさい大音量の場所(カラオケ、ゲームセンター、ライブなど、)でも1時間もすれば耳が慣れてきます。
匂いも自分の部屋の匂いって自分じゃなかなか気づきにくいです。
反対に初めて入った部屋や空間の匂いというのは敏感に感じることができます。
このように自分の感覚の評価が間違っている可能性があるんです。
アレクサンダーテクニークのレッスンを初めて体験した人はよく「なんか変な感じがした。」と感じる方が多いです。
無理もありません。今まで自分が体験したことがない感覚なのですから無意識に間違っていると感じてしまうのでしょう。
習慣の認識
これは自分がどんなクセがあるかに気付くという意味です。
なぜ?それが大切なのかというと自分が何をやっているかを理解できなければその癖を止める適切な方法も選択できないからです。
例えば、僕の場合、ホルンを吹いているときに以下の習慣があります。
・ただ音を出すことになりがち。
・息を真っ直ぐに吐こうとしがち。
・音を間違えないよう練習しがち。
・息を吸うときに頭と首を後ろに動かす。
・ホルンを構えるときに真正面に持ってくる。
これらの癖が自分の頭と脊椎の関係を邪魔することがあります。
この癖に自分で気付けないと邪魔している習慣を止めることができません。
使い方が機能に影響する
使い方とは自分の身体をどのように使うかという意味です。
機能というのは音が響きやすくなったり、楽に演奏できるようになるという意味です。
当たり前といえば当たり前。
例えばホルンの練習で言えば非効率的な吹き方ならすぐにバテてしまうし、その反対ならより楽に音を出すことができます。
ですが大抵の人はうまくいかない理由を練習不足と考えて非効率なやり方で繰り返し練習してしまうことが多々あります。
それでは上手くなるどころか徐々に音が出なくなっていきますよね。
このように意外とその事実を無視して僕らはうまくいかない理由を根性論や精神論に求めてしまうことがあるんです。
抑制(インヒビション)
これは自分の頭と脊椎の関係を不利な状態にする習慣を止めるという意味です。
ここで注意して欲しいポイントが2つあります。それぞれ解説します。
・直すではなく止める
・否定形のプランを使わない。
直すではなく止める
まず1つ目。残念ながら自分の癖を正しく直すことはできません。
なぜなら一度身についてしまった癖というのは完全に消えることはないからです。
僕も以前は悪い癖を直そうとホルンの練習に取り組んでいました。
ですが、何度チャレンジしても癖が消えることはなくふとした瞬間にぶり返していました。
大抵の人は、自分の癖を正しく直そうとします。ですが僕たちは、悪い癖を完全に無くすことはできないんです。
じゃあ何ができるのかというと、新しいやり方を習慣にすることで、身につけてしまった癖が出ないようにすることなんですね。
否定形のプランを使わない。
悪い癖を直そうとするときは、〜しないように!、〜してはいけない!などの考えで取り組もうとする方が多いです。
ですがそのやり方だと悪い癖がぶり返しやすくなります。
なぜなら人間の脳は否定形の指示を上手く受け取ることができないからなんです。
例えば以下の2つの指示を比べてみましょう。
①足を上に上げてください。
②足を下に下げないでください。
どうでしたでしょうか?①の指示は非常に分かりやすかったのに対して、②の指示はどう動けばいいのか迷ったのではないでしょうか?
②の場合、具体的にどうすればいいのかが明確ではないので脳がどんな指令を出せばいいのか混乱してしまうんです。
心身統一体
これは生みの親であるFMアレクサンダーさんの考え方で「人間の身体と心というのは別々に考えるものではない。」という意味です。
僕らの身体というのは脳からの指令で動いています。
なので人間の体というのは、本能的な恐怖や不調を感じると頭と首を固め身を守ろうとします。
例えば道を歩いていて急にハチが襲ってきたらビク!って身構えますよね。
これと同じで人間の心と身体の動きというのは関連しあっているんです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回はアレクサンダーテクニークの7つの原理について解説しました。
少し専門的な内容だったので理解するのは難しいかもしれません。
ですがこれらが実際にアレクサンダーテクニークを使うときのヒントになるわけです。
・頭と脊椎の関係(プライマリー・コントロール)
・ディレクション(方向性)
・感覚的評価は当てにならない。
・習慣の認識
・使い方が機能に影響する
・インヒビション(抑制)
・心身統一体
最後までお読みいただきありがとうございました。
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